音のぼやき

音楽やライブやその他諸々のこと

WUGのフライト

 

Wake Up,Girls!として最後の新曲たちになるとはいえど、発表された時はとてもワクワクしました。新しい曲っていうのは、ファンからすればそれだけでご褒美みたいなところあると思います。

今回は1つだけですが、他の3曲についても書けたらいいなと考えています。(さようならのパレードだけはわからん)

 

 

本題に行く前に少しだけ。

今回の新曲4つを、個人的にはわぐちゃんたちの軌跡だと感じました。今まで歩んできた道のりを、ある曲ではその時の情景を絵のように、ある曲では彼女たちの想いを剥き出しにした叫びのように、描いた4曲。

WUG曲の多くを作詞されている只野先生は「MONACA組曲をつくるイメージで詞を書いた」と言ってますし、みにゃみか誰かがラジオで「新曲4つはそれ自体で起承転結になっている」とも言ってました。(違ってるかもしれないけどそこはご容赦を)

どちらも新曲を聴いた後に知りましたが、腑に落ちました。そういう意図があったんだなと。

それなら、3曲目に位置する「土曜日のフライト」はどんな想いが映し出されているのか。

 

初めてこの曲を聴いたのは、FINAL  TOUR KADODE 大阪公演1日目昼で、嬉しいことにわぐちゃんとしても初披露の時でした。長野公演でも見ましたが、やはり大阪の時はメンバーも緊張してたんだなと後になって思いました。

印象的だったのは、かやたんの歌い出しと、1番Bメロ"守られている 安心で 気持ちがほどけていく" "やはりどこか不安なのか 緊張していた"を歌うなんとも言えない表情、サビでのハモり、そして7人で階段に座り遠く見つめる最後。寂しさと覚悟が交互に顔を出すイメージ。

曲調も含め、ここに来て新しいWUGを観せにきたというのが感想でした。

その後、MEMORIALが発売され、詞と曲だけに集中して聴くことができて、改めて打ちのめされました。

 

落ち着いた出だしからシンプルだが所々にフックをつくり、歌詞に応えるように盛り上がる音。

彼女たちがアニメやライブを通して成長し、そこから見えてきたものを表した歌詞。

どこか達観したような、それでいて次第に熱量を増す歌い方。

それらが噛み合って、まるでひとつのドラマを観たような気分になってました。

Wake Up,Girls!の現在から過去を振り返る物語。

かやたんの儚い歌い出しから回想が始まり、振り返る中で徐々に熱を帯びていき、ラストサビで今パフォーマンスをしているWake Up,Girls!に戻ってくる。この曲では回想というフライトに、わぐちゃんたちは乗っているのかもしれないです。

 

そもそもなんでそんな風に感じたかというと、ある歌詞に違和感を覚えたからです。

"好きの裏側 憎しみで 大人にさせられても"

"少女たちは いつの日にか 卒業していく"

強い表現の多いWUG楽曲ですが、その中でも一際強烈な歌詞です。ただ、そんな道を本当に通ってきたのだと思わせるぐらいリアルでもあります。それでも昔のわぐちゃん表してるとなると「卒業していた」とするほうが自然かなと思ったんです。

そこをあえて「していく」にしたのは、今のわぐちゃんが歌いながら昔の自分たちを振り返っているからではないでしょうか。彼女たちが憎しみ以外の想いを知って大人になることを目の前で見守っているような。

ここから曲としても勢いが増す分岐点となるのも、回想から現在へと戻り始めているのかなと感じました。最後は回想のフライトを終え『今』に降り、飛び立つ飛行機(回想)を見送る7人で終わる。

 

そして、もしかしたら聴いている自分たちも、わぐちゃんと一緒に回想を巡っているのかも。

"忘れないで でも上手に忘れて"

だからこの歌詞が響くんだと思います。一緒に昔を振り返る中で不意に現れる、今のわぐちゃんたちからのメッセージだからなんじゃないかって。